詩人:どるとる
マボロシのような
イチニチが今日も
静かに終わってゆくよ
少しの物音もさせないままで僕の記憶からも今日はだんだん遠くなる遠くなる
なぜだか涙があふれて止まらなくなってしまう
だから僕はなるべく1日の終わりには幸せな顔でおやすみと夢の扉ひらくまえにそっとつぶやくんだ
今日の日を僕は忘れない
今日あったことのひとつひとつをムネにいつまでも
たとえ今日がマボロシになっても僕は忘れないだろう
こんな旅路の途中で僕は何度もため息ついている
生まれてこなければよかったと思う日も多々あれど
今日を生きてみて楽しかったよとなんだかんだ言っても思えたら明日も変わらず生きるから
明日もマボロシのようにアトカタもなく消えてしまってもね
僕は僕はくたばるまでこの命をまもり続ける
なぜだか自分の終わりを考えてしまう
まだいくらも人生のページめくってないというのに
マボロシにマボロシを見ているような錯覚に陥っているようなマボロシ
最果てには何がある?
野垂れ死にのその先に
ただマボロシを
そうマボロシを
この世のすべて
と信じて
僕は生きてる
なんだかおかしいんだ
もうすべてが
乱視みたいに
マボロシがブレて見えるのさ
二重の悲しみが
二重の切なさが
僕には見えている
現実のあれやこれやと並行して重なるように
おぼろげながらもミョウな立体感のあるマボロシが。