詩人:チェシャ猫
放し飼いにした欲望に駆られて
ゆっくりと僕は堕ちてゆく
傷つく前に前に終わりを告げ
零れる痛みに目を閉じた・・・
永劫を祈っても叶わぬと
幼い瞳は知っていた
消えそうに揺れるその色彩に
ひと時の美しさを携えて
貴女が魅せた儚い幻を
淡く色褪せてゆく世界を
受け止めきれずに少年は祈りを已めた
臆病なその腕に抱かれていた小さな肩は
終わらない悲しみに濡れていた
許しを請うことさえ叶わずに
世界に幕が下りてゆく
堪え切れずに溢した悲しい嘘に
今も罰が降り注ぐ・・・
貴女を求めても届かぬと
幼い声が泣いている
幼き夜の幼き罪に
今も心は縛られたまま
貴女がもたらした始まりに
この手が下ろした終幕を
告げるまでは果てぬと知っていても・・・
それでもまだ求め已まぬなら
この身を賭して終わりを知ろう・・・