詩人:遥 カズナ
炎天下
蛆が死骸の全身を覆う
刺し殺さんばかりの陽射しに洗われ
指紋の筋の数を辿るような細密な数千万の命が
代わる代わるなんて優しいリズムではない
互いの命を足掛かりに
腐肉を喰らいながら安んじようと
陽射しを避けようと
めくれあがるように互いの内側へ潜り込んでゆく
「死にたくない」
「死にたくない」
「死にたくない」
何も無い
灼熱の地獄の地平を
まるで
一つの生きもののように
もがき、苦しみ
大きな海鼠のような姿で固まり這いずりまわる
理由なんて知らない
生き残った数だけが蠅へとなれるだけだ
、