詩人:ヒギシ
昔何かを夢見た僕は
自分を信じて疑わなかった
毎日冒険を求め
雲を目指し海を目指し
近所の草原を駆け回った
隣の家の犬は
夜中になると決まって吠え出す
僕はあれが何かの叫びだと思ってた
周りの大人の言うことが
皆馬鹿らしくなって
一人思想家気取りで
真っ直ぐな針を川に垂らし
日に焼けて嘆いた
気付いたことを威張り散らし
気付かないことには反発した
もがいて足掻いて
慕うべき人にした無礼を
死んで詫びようと思った
温かい人に囲まれ
自分が幸せ者であることに
やっと気付き涙した
必死になって走っては転び
這い上がって
時には人に支えられ
今の自分があることを知っている
それと共に
蹴落として踏み台にした人も居て
死んでしまっては詫びも何も無いと
生きていないといけないこと
沢山の人への恩返しとして
生き抜いていかなければならない
と言うよりも
僕は生きていたくて
開けたばかりの美しい世界に
この身を浸しておきたくて
木の上に登ってでも
この目に焼き付けたい
まるで生まれたばかりの赤子のように
生にしがみつく
せっかくここに生まれたのだから
せっかくここを見つけたのだから
いつか君にも伝わるといい
この溢れ出る愛を
君も大地も地球も星も
感じ取ってくれるといい
この馬鹿な幸せ者を
見ていてくれるといい
花を植えよう
彷徨う君達が愛を見つけたとき
幸せが増すよう
僕が星を散りばめよう
虫けらもおいで
僕が夢見ていたのは
きっとこれだと思うから