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[10714] 雲ノ中デ

詩人:望月 ゆき

目の前に棒があったので
それにつかまりながら
ぐんぐんと高いところまでのぼっていったら
ぼくは 雲の上に立っていた
正確には 雲の中といえるかもしれない

なにしろ 
上を見ても雲
左右をきょろきょろしても雲
下を見ても雲であった

しかしそこは
奇妙に心地よく
さっき靴を片方なくしてしまったことも
すっかり忘れてしまえた

それにしても
雲の中においては 
地面が雲なのだから
いつも見ている空の上の雲というものは
存在しないのだろうか。

などと
たあいもないことを考えてるうちに
すっかり日も暮れた

一緒に遊んでいた仲間はいなくなっていて
ぼくは ひとり 
ジャングルジムのてっぺんに座っていた


2004/07/31 (Sat)
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