詩人:ヒギシ
沈みゆく紅い球体を見つめ想うのです
あなたはどうしていますか
散歩にも出してもらえないと
そう言っていましたが
私が迎えに行くとしたら
あなたは窓を開けてくれるだろうか
落ちてくる雫を手に溜めて
あなたの呼び声を待っていました
あなたは私の名前を口にしたことが
数える程しかなかったでしょう
呼び慣れていないせいで
まさか私の名前を忘れましたか
どうしたことでしょう
花を手折って玄関に飾れど
それを目にする人間は自分だけです
呼ばねば誰も来ないのです
あなたも同じでしょうか
呼ばずとも人は寄り付くのでしょうね
ここに
駆けつけたくて堪らない
そんな人間が居るのを
覚えておいででしょうか
名前もろとも
お忘れですか