詩人:ヒギシ
出せなかった手紙
紙飛行機にしてみても
すぐに墜落してしまった
届きそうにないね
でも貴女は待ってるでしょう
郵便屋さんを待ちかまえて
何度も何度も訊くのだろう
まだ水たまりだった田んぼ
今では瑞々しく輝いています
風に乗って貴方の方へ
滑っていけたらいいですね
黄金色に変わる頃には
帰らなければならないけれど
飛行機雲に引っ張られて
海へ小瓶を委ねてみても
きっと波は意地悪をするんだ
カモメだって見ているだけで
人魚か何かが居たならば
割れて藻屑になるだろう
たんぽぽの種が貴女の吐息で
僕の元へ飛んでは来ないだろうか
たとえ来たとしても
僕は待ちくたびれて
とろけてしまっているかもしれない
雪解け水に混ざり込んで
貴女は呑み込んでしまうといい