詩人:どるとる
季節のない世界に憧れた無邪気な翼を遊ばせる無垢な小鳥
遠い昔も今の僕も
気持ちは変わらない
ただ憧れのほうが頑固で叶ってくれないだけだ
みょうに冷ややかな
この世界の温度に
慣れる日なんて来るはずもないのさ
今日も人の群れの中で様々ないざこざや面倒な出来事に齷齪していた1日だったんだ
踏切の向こう側に飛び出せずに怖じ気づいた夕暮れ
もしも飛び込んでたら 今猛スピードで走ってきた電車に押しつぶされていただろう
光と影が交差するこの世界で 僕の存在はまるで煙のように儚い
ほらいつか 僕は消えてしまうから
匂いも残さずに
影も残さずに
ただ居たという事実だけが市役所の棚にしまわれるだけ
さあ この瞳に
焼きついた絵にも描けない美しい景色に名前をつけましょう
人生という一枚の絵に 足りない色をつけたそう
舞い上がる 花火が
夜空に散る お祭りの夜に 僕はひとり淋しく線香花火をしていた
まだ死ぬには早すぎるよ 誰かの声が頭をよぎってく
何ひとつやりたいことなんて何ひとつないけど
それでも いけるとこまで行こうかな
なんとなく
生き延びている
今 僕は 昨日もしかしたら死んでいたかもしれない人です
でも 僕は1日だけで変わってしまった
まだ まだ 生きていたい気がする
なんとなくでも思えただけで素敵だと思う心が今は大切なんだ
踏切も 電車が走り去って 開いてから 渡る
飛び出す勇気なんてありもしない僕にはあの世という場所はあまりにも遠すぎる
だから この翼はたたまない
飽きもせず いけるとこまで 行こうときめたんだ。