詩人:ヒギシ
はまり込んだ溝
もがくほど深くなり
土を押し出したのは自分
やがて蓋を閉めたのも
自分だった
上を向いて
手を伸ばせば
簡単に出られる
だけど私は悲劇のヒロイン
シェイクスピアも顔負けの
酷く悲しい物語
作り上げてみせましょう
発達しすぎた言葉達に
本能を翻弄されました
純粋な感情達は
どこに仕舞ったかしら
どうやら思い出せない
所詮はアニマルだけれど
勝手に線をひいてしまった
畜生の羨ましきこと
ご飯を食べて笑いたい
子供をもうけて還りたい
殖えすぎたお猿さん
いつから生きるのが難しくなった
本能に蓋を閉めたのは
誰だった
どうやら思い出せない