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[157811] 街灯り

詩人:どるとる


ねえ 夜の灯りが揺れているよ
静かに 音もなく ただゆらゆらと
誰かの不安をあおるように
誰かの心を包むようでもある
不思議な灯りが揺れている
等間隔で佇む 灯りが揺れているよ

小雨の降る 駅のホームをすり抜けて
改札を 出たときの安堵感なんてちいさなものなのに
夢の扉の取っ手に手をかけた僕にはそんなちいさな安堵感だけで心は安らいでいた

ほらね 夜の闇が深く濃くなるほどに
静けさも際立って なんだか全ての音が消えてしまった無音の世界が窓の外で街灯りを揺らしていた

君は今 何をしてる?
少し冷たい夜風が空気を冷やしたら
肩先に 花びらがこぼれて 僕はため息で花びらを吹き落とす

曖昧な言い訳と
定まらない答えに
全ての時間は
立ち止まり
僕は何も言えなくなる

深い深い夜に沈むだけ
ああ ここにいる僕は理想を大きく裏切ったちっぽけな存在
それでもそんな僕を愛してくれる君という人のやさしさだけが僕を救う

つなぎ止めるべき
ぬくもりが
今夜はなぜだか
いい加減だな

ほら君は
電話にも出やしない

壁に背中を向けて
泣いてないよと嘘をつく僕の瞳にきらめくしょっぱい水がこぼれ落ちたら
救いの綱が切れてしまう
僕は 夜に溺れてしまうよ

だから 君の声が聞きたい
なんだか 今夜の僕は弱気なんだ

月明かりさえも
意味のない
ただのお飾り。

2010/06/30 (Wed)
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