詩人:甘味亭 真朱麻呂
人の命が終わっていく様を私は寿命と自害以外に知っている
灰色の壁に阻まれたその部屋の中で
何人もの重罪人たちが首をくくった
「この部屋は死んでいく人たちのための部屋です」
レバーひとつで人は一瞬にしてこの世を去る
何を考えているのか
何を言い残すのか
この部屋はひどく冷たく重苦しい空気に包まれて
また今日も人がひとり首をくくるため
命を終わらせるため自らの罪をその命をもって償うのです
「では、
始めます。
aZ〇〇〇、何か言い残すことはありませんか?、なければ死刑を執行します。」
きっと
そこに立つだれもが言うでしょう
言いはしなくとも心の中でつぶやく
「死にたくありません、帰りたい」
声にならない叫びの代わりにやっと出てくることばは
そう「…ありません」
たったそれだけ
たったそれだけしか出てこず、ないのです。