詩人:どるとる
広い広い 海の真ん中あたりで
難破船みたいに漂流している六畳一間
舟のように僕の毎日は迷いの底のさらに底
行き場もなく
はけ口もない
わたしには
もはや何ひとつ心の空白を埋めることはできないよ
僕の後世はなんなのだろう
人間でもほかの動物でもかんけいなくつぶやいてやるんだ
おまえの前世はこんなに情けない男だったんだよと
悪ふざけの延長みたいなどうしょうもない未来の中腹であがきつづける父親の影が視界にうろつく
目障り…
明暗の世界の中
降り止まぬ雨の中
母なる大地を
踏みしめて
我は地をひたすら
歩く 旅人になるのさ
距離は考えない
ただひたすら時間まで 歩き続ける
そんな僕の一生よ
幸せはどこだい?
どんな形だい?
どんな色だい?
覚めない夢の中で
たずねては返らぬ答にいらだつしまつ
名づけるなら
どんなタイトルがいい?
また悪ふざけの延長は続くよ
日々エスカレートしながら
エスカレーターのように天へ天へ昇る
溺れそうでも
溺れることはなく
わずかな
苦しみを地味な痛みを伴った生活
それが僕のカルテ
診断はいつも
治らない 夢遊病
鬱 対人恐怖症
極度の人見知り
愛想のかわりにくだらない調和をもらいマッチのように誰もが嘘見え見えの世辞を売り歩く
そんな世界に僕は生まれた
そして今日も 今にも沈みそうな舟に乗り
なぜか いつ沈むかと気が気でないんだよ
ほんとうはまだ生きたいんだ
ただ、目の前のスライドがめまぐるしすぎて 頭が痛いだけ。