詩人:どるとる
遠い昔の僕はきっと絵本の中のピータパンみたいに自由自在に空を飛んでた
今ほどは嫌なこと
きっとありはしなくて 笑顔もよけいなくらい振りまけていた
大人という概念と
成人という枠を
はみ出した時から
僕はピータパンじゃなく きっとただのおじさんになってしまったのだろう
夢の中で玉手箱を開けたように覚えもなく老けたね
もうピータパンのような無邪気さは必要なくなったのかな
それでも
それでもね
ネバーランドに憧れて
だからね
だからこそ
ピータパンに戻りたくて
必死になって
あの頃の匂いを
見えていたはずの
ティンカーベルを
探すトムソーヤとハックルベリー・フィンの気持ちになって
ピータパンは中太り
少し肥満気味
体脂肪が気になる年頃さ
それでも ピータパンだったから 憧れは消えないさ
ネバーランドに帰りたい 帰りたい
僕はピータパンだったから
遠い昔憧れていた
ピータパンはもうここにはいない
散らかった部屋を片づけなくちゃ
強迫観念に押しつぶされそうになる日々
夢やロマンなど微塵もないね
楽園は海の底
もう手にも届かない
僕だけが知るピータパンはもう目覚めない
不思議な声も聞こえない。