詩人:望月 ゆき
遮光カーテンのすきまから
光がもれていた
朝が来たのだ
昨日までのぼくに
何が起こったか 誰も知らない
少なくとも ぼく以外は
誰かがぼくから
見えないところへ
誰かがぼくから一番遠いところへ
去ってしまった
ただ それだけのことだが
そして それが
世界中で最も大切な人だった
たった それだけのこと
そんなことは おかまいなしに
世界は動いている
しかし
ぼくは 思ったんだ
朝はどんなときも
なにごともなかった顔でやってくる
遮光カーテンからのぞいた
ひとすじの光を見て
朝が来たのだ、と
いつもと同じに朝が来たのだ、と
思えたことで ぼくは
たぶん 今日からも歩いていける
歩いていける