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[158232] 風の中に

詩人:どるとる


とっぷりと日は暮れて
心もなんだかしんみりしちゃって
涙もろくなったもようです

絵本を開いて
遠い昔を思うなら
僕の昔はそれはそれはロマンにあふれたものだったんだろう

母親はママと呼ばれることが嫌いだった
父親は毎日ブスッとしていた わけもなく

夕飯ができたよと呼ぶ母親の声が五時のチャイムに重なる
ちょっと早い夕飯さ

あの日、探していたものはきっと
幼い子供の手から逃げるように空に放たれた風船のように今も行方知れずのままなのさ

夢から覚めて
気がついたら
母親も父親も
いない朝が
ほらねあるだけ

自分自身の誕生日も忘れているよ

風の中に置き忘れた
生きる喜び その幸せ
僕は今さら恋しくて恋しくてしかたないよ

まぬけなカラスの鳴き声が屋根の上
聞こえたら なぜだかね 悲しくなったんだ

壊れかけの思い出が大切な記憶さえもむしばもうとしてるから

白髪混じりの大人になることが
とてもとても今から こわいよ。

2010/07/08 (Thu)
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