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詩人:チェシャ猫
使うことも無いままに
とっくに抜け落ちた名ばかりの牙を
お前は誰に振りかざす
噛み付く勇気すら持てぬままに
口だけの理論を並べ立て
水溜りに揺れるは弱虫な素顔
飾り立ててみても馴染むことは無く
臆病な自尊心に命じられ
掲げた右足を深く踏み入れた
この恐れに終わりは在るのか
吠えても吼えても敵は見えず
焦りと不安だけが降り積もる
じっとしていたなら震えて消えてしまいそうで
見えない誰かに牙を剥く
傷つくことを躊躇う身に
赤く染まることから逃げる牙に
いつか終わりは訪れよう
遠吠え已まぬ悲しき負け犬に
せめてもの優しさを・・・