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[153776] 樹と貝

詩人:トケルネコ

水死したのよ

ポーラ、あの子は七つで私はまだ十だった

誰もいない庭で

静かな午後に

ホースの水溜まりが黄金色に輝いていた

ポーラ、ポーラ、ポーラ、

私達は双子のように繋がっていた

心の底の 隅っこに隠した本当の心臓を共有していた

ポーラ、あの子は死んだ

裸のまま、俯せに髪を乱して

神様は何故あの輝く日溜まりの庭にいなかったの?

神様は歌うことをやめた小鳥しか愛せないというの?

おぉポーラ、ポーラ、小麦色の頬のポーラ、

あの子の目はもうゆっくりとしか動けないけど

私には分かっている 私が彼女の目であり耳であり、拙い舌だから

あの子は空に戻りたいと 夜毎作り物の羽を探している

ポーラは朝の空気が好きだった

ポーラは母の歌うエーデルワイスが好きだった

ポーラは道行く人々に笑いかけるのが大好きだった

そのポーラはあの日に死んだ

あの静かな午後に

ホースは小さなプールに繋がり

彼女は泳ぎ疲れてしまった

あの子はまだ七つで、海の底に潜ってしまったのよ



2010/03/01 (Mon)
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