詩人:トケルネコ
水死したのよ
ポーラ、あの子は七つで私はまだ十だった
誰もいない庭で
静かな午後に
ホースの水溜まりが黄金色に輝いていた
ポーラ、ポーラ、ポーラ、
私達は双子のように繋がっていた
心の底の 隅っこに隠した本当の心臓を共有していた
ポーラ、あの子は死んだ
裸のまま、俯せに髪を乱して
神様は何故あの輝く日溜まりの庭にいなかったの?
神様は歌うことをやめた小鳥しか愛せないというの?
おぉポーラ、ポーラ、小麦色の頬のポーラ、
あの子の目はもうゆっくりとしか動けないけど
私には分かっている 私が彼女の目であり耳であり、拙い舌だから
あの子は空に戻りたいと 夜毎作り物の羽を探している
ポーラは朝の空気が好きだった
ポーラは母の歌うエーデルワイスが好きだった
ポーラは道行く人々に笑いかけるのが大好きだった
そのポーラはあの日に死んだ
あの静かな午後に
ホースは小さなプールに繋がり
彼女は泳ぎ疲れてしまった
あの子はまだ七つで、海の底に潜ってしまったのよ