詩人:山羊
病室の窓から
雨が落ちる煉瓦歩道へ
星の線路ができた夜
風力発電の風車の丘
背中張り詰めた猫
閉ざしていたパズルの一部
わかるのはあの古い曲
あの家のピアノで
もう燃えてしまったけど
悲しい顔してるね
僕は何ともない
本当さ
無くしたものは無かったよ
気のききすぎた台詞
あの部屋で
もう思い出せないけど
わかってるのは
風車の存在感と猫の存在感
それだけ
いまでも鮮明に
閉ざしていた宝箱
鍵なんて
首にぶら下がってるよ
ほら 子供じゃあるまいし
一人で外せる
病室の窓叩く雨
やけに大きく聞こえる
やけに大きく