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詩人:明希
クローゼットの奥の暗闇には
怪物が潜んでて
ある筈のない実体に
指先は怯えてる
夜になれば
嫌でも思う事
微かな震えが
思考を拒否する
闇に呑まれぬように
必死で
恐怖を解放すべく
扉を開けた時
何も残らない事実を知り
安堵と共に諦めを知る
慣れを覚える
憎まれない生き方より
いつ殺されるか
怯えていた過去の方が
本当は生きていて
死を想う今日より
死を躊躇ったあの日は
螺旋に絡めとられた
時間の中でも
ずっとずっと綺麗だった
当たり前だと信じてた
明日に裏切られて
ただくだらなく
平和だった一瞬前まで
いつの間にか
持っていた希望は
裏返しになる
対をなした絶望が
「やっぱりな」と
呟いた時には
既に闇の中に居た
いる筈のない怪物は
何故か心に根付いてる
今目の前に居る君が
明日笑ってられる保障はないのに
幸福を信じていたら
失った今日が
とても憎いと思えたよ
身近な誰かでさえ
救えない
そんな想いは
もうこりごりだ,,,
信じる事に怯えて
絶望を愛した
光が怖くなって
闇へ逃げ出した
クローゼットの奥の暗闇には
まだ怪物が潜んでて―‥
ある筈のない実体は
心に巣くって蝕んでいく