詩人:謳器
あの頃は
きっかけを求めていただけだったのかもしれない
でも
それをくれたあなたには
本当の私を伝えておきたかった
高すぎて音もなく飛ぶ
鳥みたいな飛行機が
私の心象風景
何も遮るもののない場所で
一人でずっと誰かを待ってたよ
真夜中の静寂が感情を増幅させるから
解らなかった事が解ったような気がしたんだ
遠くで花火が打ち上げられて
それが始まりを報せる銃声に似てたんだ
何を知りたかったんだろう
無知を恐れる子供みたいに貪欲に
それを知れば世界が変わるって思ってたのか
どこまで知れば満足だったんだろう
それと引き換えに失うものがあるというのに
そう
この世界では躊躇してると気付けば闇
でも
何処に行けばいいんだろう
わかってるよ
止まってることに罪悪感なんて持たなくていいって
わかってるんだよ
でも
これから何かが始まろうとしてる予感がするの
一緒に行きたいよ
今なら何処にだって行けそうな気がするのに
一緒に生きたいよ
ずっと同じ道を歩いていけると思ってたのに
小さな灯が見えてきて
目が眩む
暗闇に慣れすぎてたんだね
そろそろ日常に戻らなきゃ
きっとそこには何かが待ってるはず
あの日みたいな奇跡のような何か
ねぇ
聞こえる?
さっき耳元で
銃声が聞こえたんだ
背中を押すように
銃声が聞こえたんだ
あなたがきっかけをくれたあの日のような
きっとまた終わる
それでもまた始まる
そんな始まりを報せる
銃声が聞こえたんだ
あなたが側にいないのに
あの日と同じように