詩人:林家
卒業の日。
貴方と同じ学校に通った日々を思い出す。
ただすれ違うだけでドキドキした。
目が合った時は嬉しくて叫びたくなるくらいだった。
想いを伝える勇気もないくせに、貴方がただ男と話しているだけでも心で嫉妬していた。
ある授業で、貴方の隣に座った。
貴方との距離は…
貴方の香りを感じるこの距離は、胸の奥が熱くなる程嬉しかった。
クラスも違う貴方。
自分みたいなちっぽけな存在気付いてないと思ってた。
でも冬のある体育の授業時間。
苦手な長距離走。
全然早く走れなくて、自分が惨めで仕方がなかった。
やっと最後の一周なのに、もう終わってる人も大勢いて…
すごく惨めな気持ちになってた。
なのに…
「がんばれ!!」
後ろから声が聞こえた。
聞き間違えたりする訳ない。
貴方の声だった。
貴方は気付いてくれていたんだ。
それだけでも力が湧いてきた。
ありがとう。
もう一度貴方に会いたい。