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詩人:凜一
僕らは
「時」という名の海に
すべてを任せて
流され続けている
時には大切なものを失い
流れに逆らって取り返そうとするけれど
潮の満ち引きは速く
抱き続けた想いさえ
置き去りにして
また時に身を委ね
諦めと後悔を繰り返す
そして誰もがいつか気付く
「この海は涙だ」
誰かが堪え切れず流した
幾千もの涙が
海となり
語っているのだ
幾度も足をとられ
服の裾は濡れて重く
引きずって歩くことしか
できないけれど
それでも確かに生きている
「今」を
どうか大切にして
泣いてくれ、と
僕はこの広い広い海で
どれだけの想いを手放しただろう
それもいつか
海の一部となり
時となり
誰かの生きる証の
ひとつになっていくのだ
果てなき地平線を臨む
僕はいつだって一人だけど
この海原で
僕は独りではないから
生きていけるよ
涙をこえて
時には溺れて
すべてを失っても
誰かの痛みが
支え続けてくれるから
僕は叫ぶ
涙は海となり
誰かを支える糧になる
そう信じて
僕は地平線の向こうへ
生きていくのだ
時という名の海に抱かれて