詩人:甘味亭 真朱麻呂
プールサイドに飛び込んだ夏のあの日
少しだけ不器用なクロールと薄ら笑い
このままあきらめていいのか夏の幻と
照り返す夏の陽射しが
この胸を焦がしつける
ああ
ひと夏の恋物語
あの日あの夏キミに恋をした
ちょっとだけ切ない蝉時雨遠ざかる
コップに満タンまで注がれた麦茶の氷がいらなくなるまで
夏は終わらない
この恋もボクが君へ伝えない限り
何も変わらない
何も変わらない…
思いを馳せてあの夏に
言えずに終わった恋の行方をもう知る必要はないらしいから
プールも今は入れない
鳥肌の立った白い肌が物語る秋になった今じゃ風邪牽いちまうよ
木枯らしが吹く並木道
思わずポケットに両手を突っ込んでた
ああ
ひと夏の恋物語
あの日あの夏キミに恋をした
ちょっとだけ淋しいココアが飲みたい
衣替えの季節です
木の葉がひらりと窓をかすめ落ちてく
夏は終わったんだ
伝えないまま終わらせた臆病な恋は終わったんだ
忍び寄る冬の気配
風の音に耳をすます
少しばかりの
後悔の気持ち
少しばかりの
秋の寂しさが
この胸を今は焦がす
ふられたよりももっと悲しい恋の終わり
悲しい秋だな
悲しい冬になるかな
心を吹き抜けてく
秋の名残を残した冬の風通りぬける
ひとりぼっちの並木道淋しく立ちつくす
立ちつくす。