詩人:どるとる
あの日見た
夜空に散った
花火をまだ
君は憶えてるかな
着慣れない浴衣姿の君は帯を締めて
かんざしをさして
くるりと回って
似合う?って聞いたね
僕は見とれて
ぼんやりしていたから
君はムスッとした顔で不機嫌になった
何発も 何発も
夜空に打ち上げられる七色の花火を君と見ていた
僕は花火より君に夢中だった
君と見たあの花火なんて僕の中ではほんとうはどうでもいい思い出で
それより君の美しさに記憶は埋め尽くされて 七色に散った花火よりずっと
君の笑顔に夏を感じたよ
花火が打ち上げられるたび子供のようにはしゃぐ君を
隣で見ていた
僕は君と花火を美しさを基準に比べたよ
断然 君が勝っていたね
ひゅるりと夜空に花火が今年も舞い上がるかな
記憶の中のあの笑顔はまた咲くかな
あのときよりも少し大人びた君の笑顔が見れるかな
なんてこと考えながら暑苦しい日々を歩く
浴衣選びに夢中な君の横で思い出し笑いする僕だ。