詩人:カナリア
君のその
わがままも
子供みたいな
すねた横顔も
僕は全部大好きだから
君がどんなに
わがまま言って
僕を困らせようとも
僕がどんなに
謝っても
こっちを向いてくれなくても
僕は君が大好きだから
全部許せちゃうよ
君は言う
僕の顔を覗き込んで
「ねぇ愛してる?」
僕は迷わず答える
「愛してる」
君は
君には少し大きすぎる
僕のTシャツを頭から被り
「簡単に言うのね」と
僕の腕の中から
するりと抜け出し
窓の外を羨ましげに見つめる
猫の背中に絡みついた
「ねぇ愛してる?」
僕はそんな君の背中に向かって言う
「……愛してない」
「本当に?」
「愛してない」
「嘘だね」
「うん。嘘だね」
僕は君を抱きしめる
君は猫を抱きしめる
君は決まって言う
「あたし、わがままかな?」
うん
充分過ぎる程わがままだ
僕は答えの代わりに
キスをする