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詩人:甘味亭 真朱麻呂
引き出しにしまった
ラブレター
もう誰も読むことない
ラブレター
ぐちゃぐちゃにしてゴミ箱に捨てる
君に抱く思いと一緒に永遠に葬る
忘れた振りでも
悲しくて
忘れた振りが
悲しくて
涙が
こんなに
溢れたあの日
今もこの部屋の机には
あの日あの頃の涙の跡がくっきり残ってる
思い出したら
なんとなく悲しくなった
だけど少し懐かしくて笑えた
今ではそれもいい思い出
歩んできた道のすべてがいい思い出とは限らないけど
この涙の跡が教えてくれる
話してくれる
忘れてた記憶
様々な場面を
この涙の跡は教えてくれる
話してくれる
忘れてた過去
あの日の笑顔、涙
ふいによみがえる
恥ずかしかったり
バカらしかったり
でもどれもが大切な思い出
なくしたくないメモリー
実家に久しぶりに来てみて
良かった
このボロい部屋があの頃へ帰らせてくれる
懐かしい学舎の中へ
出てったからなにもない殺風景な部屋
ただ一つ思い入れのある
古い木の机
彫刻刀で彫ったたくさんの落書きと
机の片隅黒く残るこの涙の跡
あの日流した
涙の跡
君のことも
今少し思い出したよ
この跡の隣にもう一つこぼした新しい涙の跡
そしてまた
僕はこの部屋を出る
忙しい暮らしへと帰る
思い出を後にして。