詩人:チェシャ猫
奏でた音の続きを聞かせて
誰も居ない眠りを恐れる心が
居場所を見つけられるように・・・
ようやく手にしたちっぽけな勇気は
孤独に煽られてその灯を消した
世界から切り離された夜に
「独り」の怖さを知ったとき
その瞳からは悲しみが溢れた
君を忘れて貫こうとした道が
正しかったのか間違っていたのかも分からぬままに
その先を閉じた
真面目に聞こうともしなかった
有り触れていた筈のその音色を
もう一度だけ聞かせて
傍に在ることが当たり前で気付かなかった
一片の可憐な花弁に
眠りに就く時にはいつも聞こえていた
君だけの子守唄に
目を向けることさえ避けていた卑怯者を
誰か彼女の運命と引き替えてはくれないか
人知れず残した物語の続きを教えて
君の顔さえぼやけてきてしまった僕にも
その存在を忘れずにいられるように
いつも歌ってくれた子守唄を聞かせて
誰も居ない眠りを恐れる弱虫な僕が
君の存在を感じられるように・・・