詩人:どるとる
夜の海をひたすら
進む舟が一双
乗組員はいない
無人の舟
暗い海は
不安をあらわし
底の見えない
真っ暗な海は
悲しみの度合いを物語る
そのままを
そのままに
ずっと当たり前に
僕らは繰り返す
わがままを
わがままに
おままごとのように
その延長のように
夜の海をひたすら
進む舟に乗って
悲しい涙を海にこぼし
たまった水たまりは
やがて海になり
漕ぎ出す人たちを
未来へはこぶ
その役割を果たす
見えない舟になる
見えない力になる
転覆しそうな思いをひたすら押し戻して押し戻してを繰り返しながら
夜の海を今日も
ひたすら進む舟だよ
何を捕りにゆくわけでもなく
何の目的があるわけでもなく
ただ舟は進むために進むんだ
夜の漁に駆り出るよ
心に膨らんだ
不安や悲しみを逃がしにでも行くように
ただ気晴らしに
ただ気晴らしに。