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詩人:甘味亭 真朱麻呂
それが永遠の苦しみにならないように願いながら
悲しい祈りを捧げながら
それまではどんないいわけもごまかしも許されずうなされ続けて
解放される朝を待つ
悪夢という水槽の中で
本当の魚になれない僕はもがきながら
死ぬこともできずおぼれつづけ気力というあぶくを手放してゆく
いつか いつか
立派な鰭(ヒレ)を持った魚になれることを信じながら
魚になりたい僕は真似するばかりで仕方ない
口をパクパクさせながら寝言のようにうなされながら
苦しいとだけ言うのが精いっぱい
誰に聞こえるわけでもなくふいにこぼれる言葉を形にして思いのままに言ってみる
今夜は少しせつない夜だから
魚になれるはずもない僕は苦しむばかりの夜に夢を見る
失恋という悪夢を見る
そして今日も
悲しみの水槽の中
自らの涙におぼれ
ただただ苦しいと言い続ける
息の続く限り繰り返される悪夢は僕に楽しい夢を与えない
楽しい夢を見させない
泳ぎ方さえ知らない僕はバタバタと手足を動かすだけで
見るも見苦しい
まるで泳ぐという習慣的なものさえ忘れた
尾鰭も翼さえもがれた
今夜も哀れな魚だ
死んだような目で過去を見つめる
羨むように
懐かしがるように
悲しむように
憎んでるように
ただ一点、
思い出だけを見つめていた
現実なんてまやかしだと
ただ頑固に
記憶の中の君を見つめていた
魚のような
そうでないような
名前もない名無しの私は
ただ
当たり前な幸せを探し求めていた ずっと...。