詩人:中村真生子
薄明かりの東の空にまだ還らぬ二つの星。天空の父なるジュピターと美の女神ヴィーナス。日が昇る前にジュピーターは還ったが日が昇ってからもヴィーナスはうっすら輝き続けていた。けれど散歩の人に声をかけられ振り向いて返事をした間に彼女は還ってしまった。さようならも言えないまま…。目を凝らしても見つけることは叶わずともに過ごした思い出だけが明るくなった空にひっそり輝く…。