詩人:Tommy
ああ。今見えた。呼ぶ声の色が。薄く青みがかった緑だ。夜が明ける前みたいな色だ。耳の奥の熱いものが常温に戻っていくみたい。顔だけがほてってる。今、たった今見えたんだ。何にみえただろう。間違いない。鍵盤をたたく音じゃない。夜泣きの声に近い。雨の音じゃない。雲が割れる音に近い。いったい、いつわかるんだろう。理解するのは、いつだろう。たぶんきっと、雨がやんで、雲の切れ間に日がさして、あの子が泣きやんだころに近い。 近い。