詩人:朱雀
雨 しゃらしゃら降りて樋(とゆ)を伝い 渦巻きながら かいしょに 落ちる天水雨音 それは地に当たる音にあらずただ降る雨に音があるそう言ったのは誰だったろう?霞む山のむこうで鷹は愁いの毛を立てゆるりと流るる時を待つ雨粒に揺れる葉の裏には蝶と孵るか蛾と生(な)るか白い卵がみしりと連なりカチカチと鈍る細胞にさえ流れる時を刻み込む雨 しゃらしゃら降りて樋(とゆ)から溢れ飛び散る飛沫はやがて間もなく土に沁(し)む