詩人:りんくす
生きている感覚を失い
あやふやな感情の中で
平行感覚もわからなくなっていた
あの頃…
自ら生命の選択をする気力もなく
ただ時間に置いていかれる不安と
時間から解放されたような浮遊に
落ち込みかけたとき
一匹の猫と出会った
貰い手が見つからないので
薬殺をして欲しいと
飼い主が動物病院に連れて来た猫
ペット禁止だけど
家族に内緒で引き取ることにした
可愛いけど
癒されるけど
ご飯も食べれば
トイレもする
猫一匹といえども
養うには財力が必要だった
そして私はバイトを始めた
無気力の風船が割れて
現実の実感を手に取り戻した
私が救ったつもりで
一匹の猫の手によって
私の感情を救い出された
遠いあの日