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詩人:トケルネコ
飛ばされた地下鉄の風に乗って
峡谷の板挟みに煌めくトンボの影を捜そう
真ん中の細い道 繋いだ爪先を割らないよう
ガラスビンの中で窒息しないよう
私たちの無知なんて 春の風より柔らかい
シーツにただ包まって 死を待つなんて許さない
むしろ、 行いの正しさや 当たり障りのない喜びと
悲しい日常なんて軽々と越えて うろたえたいだけ
境目のないトンネルには幾つもの時のアンテナが眠っている
気高いエッジの翼は行列を引き裂いて
ドコまでも 労われるはず このままあなたと
影を漆黒へ投げたなら 背を向けてでも拾えばいい
か弱い残響に縛られない朝に
美しい光と静寂だけ胸ポケットに膨らまして
少しだけビルの谷間を覗いていたい
青く切り取ったMemory 忘れるために