詩人:望月 ゆき
無機質な機械音をBGMに
ぼくらは 流れていく
ベルトコンベアーの上では
ことごとく 無力だ
試行錯誤はきりがないほど
しかし
流されることが
必ずしも 不幸ではないと
ぼくらは 気づく
あるいは 誰かの教えによって知る
この先に待ちうけていることを
知りたくもあるが
知ることが
必ずしも 幸せかというと
それも 箱の中に隠されている
開くか開かないかの
選択の余地があればの話だが
けれど
無力なぼくたちは
流されていく
自ら流れていたならば
少なくとも 恐れはなかった
けれど
無力なぼくたちは
流されていく 流されていく
誰かが
いたずらにスイッチに手を伸ばすか
誰かが
ひょいと持ち上げて
連れ去ってくれることだけを
待っている
無機質なBGMを聴きながら