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詩人:どるとる
どんなに雨が降っても
どんなに風が吹いても
ぼくはもうきめたのだ
生きていこうときめたのだ
遠くのほうで
自販機の明かりが見える
たとえば人の希望なんてものはあんな人工的な光みたいなもので
悲しみを蹴散らして息を切らし走り寄ってもどこか作り物みたいな無機質な喜びがそこにあるだけ
愛想笑いが
街中に咲き乱れ
お世辞ばかりが
飛び交う浮き世に
お似合いの壊れた
リズムと愛と平和ばかり唄う偽物のロックンロール
笑いたくもないのに
嘘くさい笑顔で
見え見えのお世辞を振りまいて
涙や言いたいこと
隠すなんて
ああ惨めなだけなのに
今日も行き交う人は皆
ぼくもふくめて
目の前にありもしない壁を作り出すように
悲しいパントマイムで
要らない笑いと歓声を巻き起こしてる
帰り道の黄昏
空はどんよりと曇り
予報は久々に外れ
雷さまがお怒りになる
時々生きてることがなんだかよくわからなくなる
最初から答えなんて何もないのに
時に身をまかせているうちに浮ついてしまう
夜明けが近づき
太陽が目覚めるころ
ぼくはまだ夢の中
五月病が抜けない様子
カーテンは一日中
閉じられたままで
テーブルは散らかり
洗い物も洗濯物も
そのまま
社会という戦場に
投げ出され
給料を餌に
つまらぬ
愛想と世辞を
求められる無常よ
爆弾が落ちてくるように何もかもなくなればいいのにな…
水銀灯が静かに
消えて
本を開けば
いつもの
夢が広がる
それでも生きていこうときめたのは
なぜかなあ
その答えは胸の中
そして今日も
誰かの悪態を浴び
愚痴を聞かされ
憂うつな気持ちで
いることだろう
考えていることといえばいつもね
早く帰ることだけ
誰もいない部屋に帰ることだけ
人の中には居たくない
息の詰まる世界の片隅で自分だけが知る本音ぼそぼそ。