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[138784] 夢の卵

詩人:大示


分厚い殻の中で、膝を抱えて

カルシウムばかり生み出していた


泣き虫の僕は小鳥にもなれないよ

どろどろのぬるま湯に浸って

養分渇れるまで眠れたら
幸せだろうか


飛び立つ夢は靄の中で
薄れて行くのに

虚しさは色濃く広がって苦しめる


翼の形すら無いのに
空への憧れは毎夜訪れる

身分不相応、と笑われる前に
僕は定まらない身体を引き摺って

風化した殻を撃ち破り
無い翼を広げよう



他の翼を奪おうとは思わないよ
もう解っているんだ

引きちぎられるのが
どれほど、辛いか


空虚な翼があの青空に映える頃
今よりは

今よりは直視できる僕に
なっているだろう


遠ざかる大地に残した殻を
見下ろして


微かに痛む心を抱きしめたい

2009/01/28 (Wed)
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