詩人:栢徠
暗闇の中、あなたの声が聞こえた
「愛してる」
暗闇の中、遠くに見える懐かしい後ろ姿
泣きながら追いかける
追いかけても、追いつかない
ただ暗闇の中あなたの声だけが響く
「愛してる」
私の嗚咽は音にならずに消える
力尽きて座り込んで
距離の変わらない愛しい後ろ姿を涙に濡れる瞳で見つめる
「愛してる」
あなたの声だけが響く
私の声は音にさえならず暗闇の狭間に消える
「愛してる」
その言葉が呪いの言葉に聞こえた
その声が恨みに満ちた声に聞こえた
耳を塞いで、頭を抱えて
いつしか、暗闇の中で私の嗚咽だけが聞こえた