詩人:遥 カズナ
雲ひとつ無い
真っ青な空を背に
真っ赤な観覧車が
ゆったりとした速度で回る
スクリーンにも
あなたは映っていた
憧れを教えてもらった妬みの時から
うれしさをやどした痛みを抱えて
美しさを、今も思っています
別れが、出会いだったように
やさしいくちずけが
幾度ともなく交わされては
遠ざかってゆく
ただ
ただただ汗ばむ手に握りしめたチケットのような
真新しい香りと
早すぎる時刻に
劇場の前を彷彿とする
世界のどこかを廻り
進んでいくあなたを探し
一呼吸ごとに息を吐き
小舟のオールを漕ぐ方角へ背中をむけて前進していく不思議さが
あてどもなく開いていて
それが
今も、続いている
kikaku2013 「朝」