詩人:どるとる
今、誰かの声が聞こえるほうへ道は続いてゆく
手招きするかわいいあの子とそれから
電車乗り継いで一時間ののち
たどり着いたのは
お気に入りの場所
二人がはじめて口づけを交わした公園
東京の街は
都市化とともに
だんだん
住む人の心も
冷たくなる冷たくなる
東京は真夏さ
ビルは照り返し汗がぬぐってもぬぐっても出てくるくらい暑い
それなのに
人の心は零度以下のマイナス極寒の世界
情けも涙もなにもないからここにあるのはゴミと排気ガスに包まれた道
ロンドンの霧のようにどことなくもくもくとした
東京ロード
スキップするには
なんだか遮るものが多すぎる
東京ロード
君は振り返り際
少し微笑んだから
それだけでも
幸せかな 今の生活
睨みをきかせる
お隣さんは陰険
なんだか
自分も陰険になりそうで怖いなあ
今、君の声が聞こえるほうにだけ歩いていくよ
ほかの誰かの声は信じない
君の声だけ
東京ロードは続いてゆくよ
ママのエプロン姿も恋しいけど
君のエプロン姿はかわいいね
だから お腹が鳴るよ
東京の暮らし
地図には
載ってない
二人の記念すべき
場所にてまたも口づけ
東京ロードから
東京ロードへ
繋がってゆく路線
夕焼けが僕らを照らす週末の幸せ
路地裏で猫は鳴き
あたりまえに誰もが暮らす そんな日曜日の出来事。