詩人:あいる
みんな随分と窮屈な
魔法をかけたもんさ
誰が君を強い子と
決め込んだんだい
どのズボンの
ポッケにいれたっけな
君の髪を揺らす
そよ風
随分効き目の薄い
香水が好きなんだね
君を悩ませる魔法
体温でほどける
催眠術みたいに
本格的なのはゴメンさ
お金のかかった
プレゼントの価値は
必要ないね
ラムネのキラキラを
君に
ひだまりを君に
ミツバチが花の周りで
タンゴを踊る
耳を澄まして
君の笑い声
染みるなぁ
ほどけたから
君とボクの
靴ひもをひとつに結んで
一緒に歩くなら
どこまでいける?
いい匂いがする
いい予感がするんだ
ももいろほっぺに
勘違いした
蝶々が羽を休めた
ボクら息をとめて
それにつきあったんだ
靴すら脱ぎ捨てて
ボクらどこまで飛べる?
泣きながら笑う
ボクらは
魔法使いじゃない
蝶々のような
二つの足跡からは
効き目の薄い香水が香る