詩人:そほと
無風
夕立で冷やされた夜気が這い込んで来る
それは体に染み込み
代わりに私が染み出して行き
体は眠る
無風
静かに稲妻が走り
遠く他人事のように雷鳴
昼間見た田圃では
勢い良く伸び始めた稲達が
力強い矢印となって天を指していた
つられて見上げた其処には
確かに何か在りそうだった
無論
私には見えるはずも無く
見えようはずも無く
すぐに忘れてしまったのだが
持って帰って来てしまったのだな矢印
静かに稲妻が走り
遠く他人事のように雷鳴
矢印の緑を噛んでみる
さらに 無風
2009/02/02 (Mon)