詩人:どるとる
マフラーを靡かせて
自転車 風を切って
走る 走る 走る
すり切れるのはタイヤじゃなく僕の命
時間は限られてる
タイムリミットはいつかはわからないけど
夏の暑さにまいりました
干からびたミイラのように 僕は寝てばかり サボってばかり
マフラーを靡かせて
自転車 風にのって
生きる 生きる 生きる
誰のためでもなく
自分のために
並木道は緑色
空はあかね色
僕のマフラーは
少し色あせた黄色
さあ 自転車はもうすぐ壊れて
少しだけ ここからは苦しくなるよ
季節の変わり目に
何を着ようか?
迷う 心
マフラーを靡かせて
自転車 風を切って
走る 走る 走る
立ち止まる風の中
黄昏がお出迎え
坂道の途中
静かに ページをめくってゆく 指先がふるえているけど
明日もきっといいことのひとつやふたつあると 不安がりながらも微笑んでさよならを言う
日にちが変わった
その瞬間に
僕は生まれ変わる
昨日より少し
大人になる
でもマフラーは
昨日よりなお
色あせる
時とともに
変わるもの
それは変わるからこその悲しみと喜びを伴う
光と影をまとった
この世界
涙をかぞえ
笑顔をかぞえ
肩を落とす日も
きっと
明日を信じて
また歩き出せる
新しい夜明けに
向かって
色あせてゆくも
味わい深くなる
見えないマフラーを
ひらり 靡かせて。