詩人:望月 ゆき
ぼくたちが住む
この星の
実態をしるべく
地球を割ってみることを思いついた
ぼくがやらなくても
いづれ壊れるみたいだよ
と
誰かが言ってたし
床屋の裏の空き地の
なるぺく 草の生えてないとこに
うつぶせに寝転がって
トンカチで
トン トン トン と
地面を 叩いてみた
が
地球は そう簡単に割れはしない
それならば
と
部屋に戻ったぼくは
本棚の上で
ホコリまみれになっている
地球儀を手にして
力いっぱい
トンカチで叩いたら
割れた
地球儀の中は
空っぽだった
何も ない
地球だって
きっと
壊してみたところで
何もないのだろう
何も ないのだよ