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[65574] わくらば断章 第三段

詩人:アル


 過ぎ去りてみれば春の嵐今は遠く、雨風凡てを薙ぎ倒し瓦礫累々たる有り様一方ならざれど再び穏やかなる日々に治まり返れば虚ろなる魂に人の皮ばかり着せて世を渡り往く心許無き宿世なりとぞ思はるる。
 振り返る縁は塵だに残さず、消息さえ通はぬ果てしなき空へ霧と消え行きにければ、生き別れ死に別れ、いづれの不仕合せか甚だしき。生きるとは祭りの如きものなりと言ひし人なれば祭りの後かくはもの寂しくあるらん。


2006/02/05 (Sun)
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