詩人:かものはし
へい
私のことでしょうか?
害虫・・・ですか。
まいったね こりゃ。
これでも精一杯あなたをお守りしているつもりなんですがね。
昨日だってあなたのその美しい足をはい上がってくる
芋虫のやつを引っ捕らえて、首から体液を吸ってやりましたよ。
まったく油断も隙も無いですからね。
アレは結構苦いんですがね、それがまた癖になるというか、結構良い味に
え? 汚らしい? 私が?
いえいえ 私はあなたのためを思ってお守りしてるんですよ。
「妙薬口に苦し」ってね。
それをあなた 害虫だなんて言われちゃうと、やっぱり自分にも至らない
所があったのかな なんて反省してますよ。
その辺の所を今日はちゃんと話し合おうと思って、あなたのその
美しいお顔に近づかせてもらいますよ。
よっこいしょ っと。
あ その前にこの葉っぱを少し頂きましょうかね。
新芽はやっぱり良いですな。
イテテ
何だい こりゃ?
棘だよ。
うっかり踏んじまったよ。
凄い出血だよ。
いえいえ大丈夫、少し血が出ただけですから、
ペロッと舐めればすぐ治りますよ。
そんなに心配そうな顔されると、
やっぱり俺のことまんざらでもないのかなって・・・。
え そうじゃなくて 棘に付いた血をちゃんと拭けと?
ええ ええ もちろんですとも。
その前に少し休ませて下さいね。
おかしいな 貧血かな。
力が入らないし、目がかすむぞ。
ちょっとだけ地面に降りて休憩して必ず上ってきますからね。
ちくしょう、力が入らない。
これからって言うときに・・・
美しいものには棘がある か 上手いこと言うな。
せめてあなたの足下で眠らせて貰いますよ。
例え死んだとしてもあなたの養分になれますからね。
じゃあ ちょいと おやすみ。