詩人:どるとる
まだ昨日の悲しみが尾を引いてる
月が雲に隠れて
いつもより暗くて切ない夜
悲しいことを並べればきりがないけど
流す涙のひとつでもあれば誰か心配してくれるかな
そんな世の中じゃないよね
もうすぐ秋の風がこの町にも吹いてくる
そしたらなおいっそう悲しくなる 切なくなる
まだ9月のはじめだというのに
幻聴なのか
冬の足音
雪のように
降り積もる
切なさ ぱらり
残暑がのこりそうな予感が色濃く僕を悩ます
もう明日の悲しみが目に見えるようで
出かける足取りが
ドアを開ける手が
かすかにふるえてる
もうすぐ秋の風がこの町にも吹いてくる
そしたらなおいっそう悲しくなる 切なくなる
まだ9月のあたまだというのに
幻覚なのか
冬の寒さが
氷のように
芯まで伝わる
淋しさ
早咲きの桜のように
その時を待てないせっかちの雪がせめて誰かの心にだけでも降りたくって降り出したような少し生ぬるい優しさ混じる
不思議な切なさ
今 ほほを伝う
朱より淡い薄紅色の涙
まだ9月のはじめだというのに
幻聴なのか
冬の足音
雪のように
降り積もる
切なさ ぱらり
枯れ葉をくしゃりと
踏むような
どこか 鈍い冬の足音
秋より一足早く 訪れてしまった かりそめの寒さが みょうにお人好しすぎて優しくって男泣きしちまうよ。