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[160234] 力不足と不甲斐なさのまん中で

詩人:どるとる


いろんなごたごたをかわしてやっとたどり着いた
真夜中のベッド

受話器の向こう側で
君が泣いている
泣き声さえあげずに
僕はそれを聞いてる

愛してるには愛してるけど 僕はいつも不器用です
だから時には君の悲しさをわかってあげられずに
いつの間にか君を傷つけてる

やっぱりわるいのは全部僕だったんだよね

低く唸るような
犬の鳴き声がする
時折 君が甘えるような声を出す

特別なことは何もしてあげられそうにない
素敵なプレゼントも
いつだって給料の範囲内で買える安いものばかり

誰よりもきっと誰よりも愛してる人は君だけなのに
不器用な僕だから
いつも言い訳を盾にしては 君の言い分を聞くふりして聞かないでいたんだね

やっぱりわるいのは全部僕だったんだよね

真夜中を優しくする街路灯の仄かな明かり 遠くなったり近くなったりして揺れてる

いつもいつでも頼りなくって申し訳ないですね

力不足と
不甲斐なさの
ちょうどまん中で
やればできるはずなのに怖じ気づいてばかりいるから

僕は中身から
腐っていくんだね

ベッドに身をあずけ
枕に意識を沈めれば夢は待たずとも始まる

羊が塀を飛び越える


やるせない夜
肩すかしにあうよな
そんなすっぽ抜けた
虚無感が僕を支配していく

ああ 僕の何がわるいんだろう?
気づけるなら今すぐ捨てるのに
疲れ果てた心には
もはや 探す元気さえなく

力不足と不甲斐なさのちょうどまん中で
ため息ともあくびともつかない
声をのみこむだけなのさ

君の背中が
涙で滲むまで
それは繰り返される
丸みを帯びたささやかな悪夢。

2010/09/06 (Mon)
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