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[11374] おいてけぼり

詩人:望月 ゆき

花びらを一つも残さず
桜は散り去った

わたしはそれを
どうとも思わず見上げる

あの人は べつだん
理由も述べないまま
さよなら と言った

理由というのは
聞くことによって 結果が
かわってくるのでなければ
意味はなさない
と わたしは思っている

あの人の背中が
完全に見えなくなるまで
上を見上げていたので

わたしの視界には
葉っぱだけの桜の枝と 
その向こうの空しか
なかった

桜は 散り去った

わたしは それを
どうとも思わない

桜はまた 咲く
来年もまた 

桜はまた 咲く
それを約束されている

おいてけぼりの
わたしをよそに

2004/05/01 (Sat)
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