詩人:どるとる
悲しいことがある
うれしいこともある
それが当たり前なのか特別なことなのか
曖昧な視点から眺めてる 空よりも高い雲の上から
朝が来て 夜になって
夢を見て 目が覚めて
また夜になって
また朝が来て
繰り返す 毎日
こぼれた涙も
浮かべた笑顔も
その時だけは鮮やか
過ぎ去ればすべて幻
金色に光る 月夜
誰かの帰り道を照らす
月が落とす光が道になって それをたどればそれぞれの家に帰れる
さあ 少しずつ少しずつ深まる季節の色を
感じながら 想いながら 歩いてゆこう
帰り道は切ないものだから
鼻歌などをうたいながらゆこう
明日の出来事を思い描く 勝手なイメージがみょうに広がってゆく
絶望的なシナリオをうまくよけて希望に満ちた夜明けを待つ僕なのさ
さあ 黄金の夜明けよ
僕の心に広がる
明けない夜を終わらせて
そのまばゆいばかりの光で照らして
悲しいことも
うれしいことも
僕がここにいるかぎり
こちらの思うようにはならない
だけれど悲しいことがある うれしいこともある
だから生きてる
ここで何度でも
夜明けを待ち
無謀な期待も膨らませるよ
それはただ 一概に
僕が生きているから
夜明けの珈琲
淹れたての渋さ
深みのあるコクと味わい
至福の時にもてあます心の余白はないから
悲しみの入り込む
隙はないぜ。